Goose house「光るなら」
よしながふみ「きのう何食べた?1~9」
モーニングにて月1連載中、既刊9巻。
中年ゲイ夫婦とその周辺の食生活を描いている。
性描写はない。
私は料理漫画として読んでいる。(大半の人がそうだと思う)
料理漫画としての特色として、料理の作り方は最後にまとめるのではなく、作中の流れで説明されている。
また、一品に注目するのではなく、一汁三菜となるような一食分の献立になっている。
分量はあまり説明されず、手順はそれなりに。
特別な材料はなく、いわゆる主婦料理が展開されているため料理中級者向けかもしれない。
この料理スタイルが私のやり方とがっちり合ったので、よく参考にしている。
影響を受けて我が家の定番となった料理は以下のとおり。
1巻:なすとトマトと豚肉のピリ辛中華風煮込み
2巻:トマトとオクラと卵の中華スープ
5巻:バナナパウンドケーキ
8巻:沢煮椀
Pink Floyd「The Endless River」
2014年発売。
まさか新作を出すとは思わなかったPink Floydの最新作。
年齢的にも最後になると思う。
David Gilmourしか出し得ないギターサウンドは、紛れも無くPink Floydなのだが、まあ出し殻である。
King CrimsonのRobert Frippのソロ作を聞いた時と同じで、環境音楽だなという感想しか持てなかった。
評価:★★(印象に残らない)
ますむらひろし「アタゴオルシリーズ」
ますむらひろしが1976年から書き続けるファンタジーシリーズ。
この文庫シリーズでは朝日ソノラマから出ていた「アタゴオル物語」(1~4巻)、偕成社から出ていた「アタゴオル玉手箱」(5~8巻)、幻冬舎から出ていた「アタゴオル」(9~10巻)をスコラ社がまとめて出版し、その版権がメディアファクトリーに移り再度出版されたものである。
スコラ版はゲストによる解説、メディアファクトリー版は作者による解説が巻末に追加されている。
その他「ギルドマ」や「ヨネザアド物語」が外伝として出ている。
続編として「アタゴオルは猫の森」がメディアファクトリーから全18巻で出ている。
そこで起こる不思議な出来事を基本的に一話完結で描く。
表紙のデブ猫ヒデヨシが主人公、ハウスのシチューのCMで見たことがある人もいると思う。
彼は著者の短編で1973年のガロで初登場している。
時期によって作風と画風が異なり、「アタゴオル物語」はややおどろおどろしいところがあり、実験的な作品も多い。「アタゴオル玉手箱」以降はファンタジー要素が強くなっている。
最後1ページは一コマで終わるのは作者共通のスタイル。
我が家では絵本の代わりに子供の頃からこれを読んでいた。
特に「アタゴオル玉手箱」の1巻は何百回読んだかわからないほどである。
大人になって読み返しても味わい深く、一話完結による構成力の高さも光る。
やはり、「アタゴオル」の世界観は大好きだ。
狂った植物群に猫が闊歩しているにもかかわらず、郷愁を覚える優しい異世界。
幼き日の思い出が詰まったこの世界をぜひとも共有してもらいたい。
そして、願わくば子どもたちに読んでもらいたい。
Hostess Club Weekender 2015.FEB
2015年2月21,22日のHostess Club Weekenderのメンツが出揃った。
ST.VINCENT
THE THURSTON MOORE BAND
TEMPLES
TUNE-YARDS
REAL ESTATE
PHILIP SELWAY
HOW TO DRESS WELL
EAST INDIA YOUTH
2月はオーストラリアでフェスがあるため、今年に引き続き豪華である。
以前にトリを努めたTHURSTON MOOREが、トリ前になっていることからもその良質なラインナップが見えてくる。
個人的に期待しているのがCARIBOU。
FujiRock2012で来ていた時は、Ray DaviesとThe Specialsを優先したため、見ることができなかったが、見た人の評判が非常に良かったので次回来るときは見ようと決めていた。
新作の「Our Love」もなかなかのできのアルバムだったので楽しみだ。
CARIBOU - Can't Do Without You - YouTube
Ariel Pink「pom pom」
2014年発売。
宅録マニアAriel Pinkの最新作。
2010年ごろから宅録、アングラ色が薄れてXTCのようなひねくれ変態ポップ度が高くなった。
今作もその傾向を引き継いだ変態ポップで楽し嬉しい。
お気に入りは2曲めの「White Freckles」
ぜひともまたHostess Club Weekenderで来日してほしいが、2月は既にスケジュールが埋まって無理みたいだ。
Ariel Pink - Put Your Number In My Phone (Official ...
こちらで全曲視聴可能
唐辺葉介「つめたいオゾン」
2014年発売。
新興レーベルの富士見L文庫の第一弾作品であるため、発売に気が付かず買い逃していた。
メディアワークス文庫から始まるライトノベル読者層と一般小説層をつなぐ目的のレーベルである。
そういった目的であれば、狭義のライトノベルレーベルに当てはまらないところばかりで書いていた唐辺葉介の起用は適当だろう。
「他人と感覚を共有し、やがて思考や感情も融合してしまう架空の病気、アンナ・メアリー症候群。幼少期より共有した視界によってお互いを認識していた脩一と花絵。二人が出会い、病気を宣告され向かう未来とは・・・」
唐辺葉介は登場人物を胸くそ悪い表現で不幸に陥れ、絶望へ向かう中で一瞬の輝き(悪い方向性であることが多い)を描写することを得意としていると感じている。
1章は脩一の生い立ちを描いている。
両親との確執はあるが、最終的には目標へ向かって前向きに進む道が示され、そこまで不幸ではない。
2章はそれと対比するように不幸にまみれた花絵の生活を描く。
家族の焼死、強姦、監禁によって脩一と出会った頃には感情が死んでいた。
最後の3章では二人が出会い、病気が進行していく様子を淡々と描写していく。
今作も唐辺葉介の特徴はよく出ている。
前半で登場人物を不幸に陥れ、さらに後半で真綿で首を絞めるように追い詰めていく。
彼の文書から想像される情景はモノクロかセピアであることが多い。
そのため、後半で向かっていく絶望はアメリカ映画のように、パニックになるのではない。静かに潰えていく。
一般小説層が最初に手を出す唐辺葉介の作品としては、特徴が良く出ていてわかりやすい今作が一番適していると思う。
そして、次は「PSYCHE」あたりに進むのがいいのではないか。
売れてくれたら瀬戸口廉也名義の「CARNIVAL」を是非再販してくれないだろうか。
海猫沢めろんの「左巻キ式ラストリゾート」再販してくれた星海社あたりになんとかしてほしい。
評価:★★★(面白い点はある)