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King Crimson 2015/12/8 @ 渋谷Orchard Hall

King Crimsonを初めて聞いたのは中学1年の頃だ。
それから私の音楽史のTOP3内に居座り続けている。

一度は生で観たい。
しかし、2003年を最後に来日することは無く、Robert Fripp御大は音楽活動からの引退を宣言した。

だが、2014年に突如活動を再開し、来日公演が決まってしまった。
しかも初期の頃のメンバーであるMel Collinsが40年ぶりに参加しているためか、今までほとんどやらなかった1970年代の曲を中心としたセットリストである。
行かない理由が見つからない。

人生で一番ウキウキしながら会場へ向かった。
残念なことに席は1階の31列と後ろのほうだが、音のバランスは良かった。

さて、King Crimsonと言えば21st Century Schizoid Manだが、以外なことに日本では一度も演っていないのである。
しかし、今回のツアーでは本編かアンコールのラストで演っているので安心して構えていられる。
※観客の態度に腹を立ててアンコールをやらなかったパリ公演は除く。

定時を10分強過ぎてから、2ndからPeace-A Beginningでスタート。
前日とは異なり、今回のヴォーカルJakko Jakszykの独唱だが、中々にうまい。

これは前奏のようなもので、さてここからが本編だと姿勢を正したら、聞き慣れたノイズが聞こえてくるではないか!
まさかの初っ端から21st Century Schizoid Manである。
これにはやられた、心の用意ができていないところに奇襲をかけられ精神異常になってしまったぜ。
今回のツアーでこのような曲順だったことはない。
予習していたことが相乗効果をもたらした。

この衝撃を他のバンドに例えるならば、Radioheadのライブで1曲目からCREEP、しかもサビのギターのガコガッコというギターリフから始まったようなものである。

さて肝心の曲だが、今回はトリプルドラム(※一人キーボード兼)とサキソフォンが加わっているのが大きな特徴である。
そのため、ジャズのような即興性と緊張感が増していた。
ドラムも音数を増すためではなく、きちんと役割分担がなされた綿密な演奏である。
御大のギターは全面には出てこないけど、奇妙で独創的な音を鳴らし続けている。
ああ、最高だ。
この時点で既に絶頂を迎えていたが、そこからまたしても1stのEpitaphへ続き完全に昇天した。

そこからは新曲や近年の曲が続き、魂が戻った頃に初期の最終作からOne More Red Nightmareである。
個人的に好きな曲であり、前日やらなかったことから感動も倍増した。

そこからアンコール前のラストまで70年代の曲で占められた。
前日からSailor's Taleが追加されていたが、これは今回の楽器構成だと魅力が増す素晴らしい選曲だと思っている。

そして、本編の最後はStarless、21st Century Schizoid Manと並ぶKing Crimsonの至宝である。
メロトロンの調べと共に歌い上げられていきながら、徐々に緊張感が増していく。
中盤のタメのパートで、この日一度も変わらなかった照明が赤く変わっていく。
そして、弾け転調した。
最高の流れである。

鳴り止まない拍手によってアンコールへ繋がる。
そこで、1stからThe Court Of The Crimson Kingをやられては無条件降伏です。
今までの来日で1曲も演っていない1stから3曲も披露する大盤振る舞いである。
最後はLarks' Tongues In Aspic, Part 2で盛大なまとめを行った。

ツアー自体の演目が超絶最強な今回だが、その中でも曲順がサプライズだったこの日は脳裏、鼓膜、心、眼球、全てに焼き付くことになった。