ますむらひろし「アタゴオルシリーズ」
ますむらひろしが1976年から書き続けるファンタジーシリーズ。
この文庫シリーズでは朝日ソノラマから出ていた「アタゴオル物語」(1~4巻)、偕成社から出ていた「アタゴオル玉手箱」(5~8巻)、幻冬舎から出ていた「アタゴオル」(9~10巻)をスコラ社がまとめて出版し、その版権がメディアファクトリーに移り再度出版されたものである。
スコラ版はゲストによる解説、メディアファクトリー版は作者による解説が巻末に追加されている。
その他「ギルドマ」や「ヨネザアド物語」が外伝として出ている。
続編として「アタゴオルは猫の森」がメディアファクトリーから全18巻で出ている。
そこで起こる不思議な出来事を基本的に一話完結で描く。
表紙のデブ猫ヒデヨシが主人公、ハウスのシチューのCMで見たことがある人もいると思う。
彼は著者の短編で1973年のガロで初登場している。
時期によって作風と画風が異なり、「アタゴオル物語」はややおどろおどろしいところがあり、実験的な作品も多い。「アタゴオル玉手箱」以降はファンタジー要素が強くなっている。
最後1ページは一コマで終わるのは作者共通のスタイル。
我が家では絵本の代わりに子供の頃からこれを読んでいた。
特に「アタゴオル玉手箱」の1巻は何百回読んだかわからないほどである。
大人になって読み返しても味わい深く、一話完結による構成力の高さも光る。
やはり、「アタゴオル」の世界観は大好きだ。
狂った植物群に猫が闊歩しているにもかかわらず、郷愁を覚える優しい異世界。
幼き日の思い出が詰まったこの世界をぜひとも共有してもらいたい。
そして、願わくば子どもたちに読んでもらいたい。